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海洋堂シマントミュージアムビレッジ

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◎流木の家
2019年03月11日

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「拾うた流木で、小さな家をつくったけん、寄って見てくれんかえ」という山本さんは、いつもは言葉少ないのに、執拗に誘います。

山本さんによれば「喫茶店もやっちょる・・・」というので半信半疑だが、立ち寄ることにしました。

好人物の山本さんに迎えられ、家の前にある空き地に案内されました。するとどうでしょう?小さいけれど、本当にすべてを流木で造った家がありました。

苦労して造っただけに、わたしたちにも見て欲しかったのでしょう。壁には、「○○喫茶店」という看板がぶら下っていました。

「せまいけん、気をつけて入ってや?」と山本さんが先に小屋の中に背を丸めて入ります。タテ・ヨコ・タカサをすべて2メートル90センチに統一された四角の小屋です。

それでもいろいろな椅子が三脚ほどあって、三人はそれに座ります。喫茶店なのに、コーヒーを置くテーブルはありません。小ちゃな箱がテーブルかわりなのです。

外も、また内部もすべて海岸から拾ってきた流木を重ね合わせ、見事な小屋を造り上げています。

「山本さん、あなたには脱帽です。このような手の込んだ細工を造り上げました。驚くよりも、感服いたしました。」と言うと、前歯のない口を大きく開けて、「これでも三ヶ月ばぁ掛った?」とけらけら笑いました。

同行していた家内と三紀ちゃんも、周囲を見回したり、手で触れたりして感動しています。よくぞ大小異なった形をした流木をこれほどまでに、つなぎ合わせたものよ!と言葉がありません。

「そうや、喫茶店いう看板出しとるけん、コーヒーを出さな・・・」と右隅にあったコーヒーセットを取り出し、向いの家へお湯を取りにゆき、そして喫茶店のはじまりです。

30年ほど前、わたしも台風が来る度に故郷の今は黒潮町となっている海岸に、大阪からハイエースを駈って流木拾いに通っていました。台風の来るのを待ちかねていました。

それにしても、流木で家を造るという発想はなかったようです。山本さんの流木の家は、表と裏側にサッシの窓まで付いていて、なかなかのアイデアであります。

流木はいろいろな形をしているので、かっぱの彫りモノを置いたり、旧型の石油ランプや、ガラスのブイがぶら下ったりしています。その中でも圧巻は、家の中を鉄道模型を走らせているのです。

山本さんは、歯の抜けた口を開いていつも笑っています。漁師であり、チェンソー作家でもあるのに、まるで子供のような童心を内包している貴重な存在であります。


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